谷崎潤一郎、内田百閒、大佛次郎、ヘミングウェイ―古今東西、猫を愛する小説家は枚挙にいとまがありません。
寒竹泉美さんもそんな猫を愛する小説家の一人です。
とにかく文章を書くのが大好きという寒竹さんのお仕事は、小説の執筆にとどまらず、漫画の原作や舞台、映画の脚本など、ジャンルを超えて多岐にわたります。
さらに、京都大学で博士課程を修了した医学博士でもある寒竹さんは、その知識や経験を生かし理系ライターとしても活躍されています。
そんな寒竹泉美さんに、2年前に天寿を全うした愛猫モーちゃんのことや、猫への思いについてお聞きしました。
―寒竹さんが初めて一緒に暮らした猫がモーちゃんだったそうですが、以前から猫はお好きだったのですか。
もともと動物好きなのですが、それまで飼ったことがなかったので、動物は懐かないものだと思っていました。とくに猫はツーンとしていて見向きもしてくれないので、可愛いとは思いましたが好きではなかったですね。それに猫好きの人は、自分の猫の話ばっかりしてデレデレしているので、正直苦手でした。
それがモーちゃんと一緒に暮らし始めた結果、もうメロメロになりました。なんて可愛いんだろうって。
私にとても懐いてくれて、膝の上に乗って来たり、私がいないとニャーって呼んだり、この子は前世で私の恋人だったのだろうかと本気で悩むほどでした。
自分専用の猫ができるまで、猫の本当の可愛さは分からないものだと思いました。
―今なら猫好きさんが自分の猫にデレデレしてしまう気持ちもわかりますか。
わかるけど、うちの子のほうが可愛いけどね!って思います(笑)
―すっかり筋金入りの猫好きさんですね。
そのモーちゃんとの出会いを教えてください。
モーちゃんが子猫のときに道で拾ったんです。目やにで目がくっついて開かなくなっていて、声も出ないような状態でした。普通だったら拾わないのですが、ちょうどそのとき大学の研究でネズミを使った実験をしていたので、たまには命を助けようかなという気持ちがふと起こりました。それと前の日に弟から電話があって、車の事故で死んだ猫がいるので埋めてあげられる場所がないか尋ねられたという出来事が偶然ありました。そのタイミングでモーちゃんと出会ったので、これはもう家に来い!みたいな感じですね。ご縁があったんだなと思います。
―ネズミがつないだご縁ですね。
寒竹さんにとって、モーちゃんはどのような存在ですか。
お兄ちゃんですね。猫のことを相棒とか自分の子どもって考える人は多いと思うのですが、私がモーちゃんをお兄ちゃんだと思うのは、猫には一人で生きていく力がちゃんと備わっていて、私のほうが猫からいろいろ教えられているように感じたからかもしれません。年齢も人間を追い越していくので、そういう意味でも、モーちゃんは我が子というより師匠のような存在でした。
モーちゃんは前世の恋人かも―近い将来、もう一度生まれ変わったモーちゃんと寒竹さんが再会する日の訪れることを願ってやみません。
